ひずみとは
ひずみゲージのことを知るために、まず「ひずみ」とは何かを知っておきましょう。
材料に引張力(または圧縮力)Pが加わると、これに対する応力σが材料内部に発生します。この応力に比例した引張ひずみ(圧縮ひずみ)が発生し、長さLの材料は、L+ΔL(またはL-ΔL)に変形します。このときのLとΔLの割合をひずみと言います。
ひずみの表し方は、1×10-6ひずみを基準にしますので上の値のように1000×10-6ひずみ(または1000×10-6)で表します。読み方は「1000マイクロひずみ」となります。
ひずみはとても小さな値であることがご理解いただけたかと思います。
ひずみゲージ(ストレインゲージ)とは
ひずみはたいへん小さな値で変化しますが、ひずみゲージではどうやって測定するのでしょうか。
金属(抵抗体)は外力を加えて伸縮させると、ある範囲でその抵抗値も増減します。したがって、ひずみが生じる測定対象物に電気絶縁物を介して接着しておけば、測定対象物の伸縮に比例して金属(抵抗体)が伸縮し抵抗値が変化します。ひずみゲージ(電気抵抗式)はこの抵抗変化によりひずみを測定するセンサです。
ひずみゲージの構造
金属(抵抗体)の伸縮による抵抗値の変化を測定するため、ひずみゲージはどのような構造になっているのでしょうか。
ひずみゲージは、薄い電気絶縁物のベースの上に格子上の抵抗線またはフォトエッチング加工した抵抗箔を形成し、引出し線を付けた構造になっています。これを測定対象物(供試体)の表面に専用接着剤で接着して測定します。
ひずみゲージの原理
ひずみゲージの構造がわかったところで、金属(抵抗体)の伸縮による抵抗値の変化からどのようにひずみを測定するのか、その原理を解説します。
測定対象物にひずみが発生しますと、ひずみゲージのベースを経由して抵抗体(線・箔)にひずみが伝わってきます。発生したひずみに対応した抵抗変化とひずみの関係は次式のようになります。
ひずみゲージの抵抗変化は微少な値ですのでホイートストンブリッジ回路を用いて電圧に変換します。
ブリッジ回路の出力電圧は、
となります。
R=R1=R2=R3=R4とするとひずみゲージにひずみが加わってひずみゲージの抵抗RがR+ΔRになり、したがって、ひずみによる出力電圧Δe(変化分)は
となります。
ひずみゲージをひずみ測定器に接続するとホイートストンブリッジ回路が構成され、ブリッジ回路の入力電圧(ブリッジ電源)がひずみ測定器から供給されるため、ひずみ量(ε)をデジタル表示やアナログ出力などで測定することが可能です。
ひずみゲージの優位性
ひずみゲージは多くの利便性を備えているものの、一方で限界があるのも事実です。温度、ひずみ量、疲労、環境などに対して一定の使用限界がありますので、あらかじめ限界を見極めてひずみゲージを使う必要があります。
ひずみゲージの特徴
- 構造が簡単で質量、容積が小さく測定対象物の応力状態を乱さない
- 標点距離を短くでき、局所的な評価ができる
- 周波数応答性が良く、応力の急激な変化に追随できる
- 多点の同時測定、遠隔測定ができる
- 出力が電気量なので、データ処理が容易