ひずみの完全な補正法とは

一般的な測定では誤差が発生する

ひずみゲージの測定は一般にホイートストンブリッジ回路を用い、ひずみゲージの抵抗変化を電気信号に変換して求めています。ブリッジ回路によるひずみ測定にはブリッジ4辺の抵抗値の初期不平衡値による誤差やブリッジ回路特有の非直線性誤差が発生します。当社独自の「ひずみの完全な補正方法」は1ゲージ法におけるこれらの誤差をなくし、ひずみゲージやダミー抵抗の抵抗値に影響されない、出力電圧のみを使用した画期的な補正法です。

ブリッジ回路の初期不平衡の自動補正

当社独自の「ひずみの完全な補正方法」は以下の特長があります。

  • ひずみゲージ抵抗値のばらつきに伴う初期不平衡がゼロとなりゲージ率は一定になります。(抵抗値が不揃いのひずみゲージ)
  • ひずみゲージを曲面に貼り付けた時の抵抗変化に伴う初期不平衡のズレによる測定への影響が無くなります。
  • リード線抵抗の初期不平衡値への影響が無くなります。
    • リード線の延長に伴う抵抗値による感度低下の自動補正
    • リード線の温度影響による抵抗値変化の自動補正
  • 測定器内部で1ゲージ法ブリッジを構成するダミー抵抗を自動補正
    例えばこんな場合
    • ひずみ測定中にリード線を延長する場合
    • 曲面にゲージを貼付けた場合
    • 抵抗値が不揃いのひずみゲージを使用する場合
    • 温度の影響を受けやすい場合
    • ゲージを貼替えて試験をする場合
    • イニシャルを取り直して計測する場合

ひずみの完全な補正法を用いた使用例

一般的なひずみゲージによる測定結果と、当社独自の「ひずみの完全な補正方法」を使用した測定結果の例は、以下のようになります。

実温度と見かけひずみの測定
実温度と見かけひずみの測定
熱出力補正後の実ひずみ
熱出力補正後の実ひずみ

TDS-630を用いて、温度変化に伴う熱出力を自動補正し、実ひずみをリアルタイムに測定できます。ひずみゲージに添付されるデータシートに記載されている個々の熱出力式(熱出力特性)をあらかじめデータロガーTDS-630に設定しておくことで測定中の周囲の温度変化に伴う熱出力を自動補正して測定精度の向上が図れます。
「ひずみの完全な補正方法」は当社製データロガー、スイッチボックスにのみ標準搭載されており、ソフトウェアとしての販売はしていません。